逃げ出したくなるような難症例も、人柄が克服

素晴らしい人柄が、難症例を克服!!

『本を読み、この先生こそ私の求めていた歯医者さんだと思いました。
30代より歯周病が始まり、40代には一本一本と抜いてきましたが、今から5年前、突然歯茎が痛くなり、何も噛めなくなってしまいました。
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近所の歯医者さんで多くの歯を抜いて義歯を作りましたが、痛くて噛むどころではなく、1カ月以上調整しましたが、「試行錯誤やなぁ」と言われる始末。
友人に紹介してもらった別の歯医者さんに変わると、抜いた所に歯の根っこが残っており、膿がたまっておりました。

結局、下の歯全部と上の歯三分の一を抜いて、入れ歯を作っていただきました。この先生はじっくり調整してくださり痛みはなくなりましたが、物を噛みくだく力はほとんどありません。痛くないのが何よりとあきらめて、柔らかい物ばかりを食して現在に至っております。
子供達も独立し、夫婦で旅行にも出かけますが、何しろ硬い物はいっさいダメなので主人に文句ばかり言われ、口惜しい思いをしております。

先生の本を読み、今治療しておかなければ、これからの人生が台なしになると感じました。東京まで通院するは大変ですが、幸い主人が費用を出すと言ってくれますので、この際頑張ろうと決心しました。
私はパッチワークを教えており、生徒さんにあまり長い間ご迷惑をかける事もできませんが、とりあえず2カ月間まとめて休みたいと考えております。 
先生が姫路の出身であることも、私にとってはうれしい要素の一つです。
是非、治療に行きたいと思います。よろしくお願い申し上げます』


お手紙をいただき、差し出されたご住所を見て驚きました。何と私の実家のすぐそばなのです。不思議な縁だと思いながら、改めてお手紙を開いて、しっかりした文章と文字の奇麗さをもう一度眺めました。そしてこの方は上手くいくと思いました。

ところが実際に来院されると、「これは困った」と思ったのです。上アゴに比べて下アゴが小さく、しかも後ろに下がった顔貌だったからです。
この顔つきの方は、ほとんど間違いなく難症例なのです。
顔貌と性格はかなり一致しており、この顔つきに特有の几帳面な人、気難しい人であることも、治療を難しくさせる原因の一つです。
しかし、お話をしていくとお手紙から受けた第一印象と同じで、言葉も品がよく、全体的に柔らかい雰囲気の方でした。そのため最初は「これは…」と思った西村の心も緩んだのです。

治療に入ると、私が最初に感じた通り、構造的に非常に難しく逃げ出したい程の悪条件でしたが、彼女の優れた性格がそれを上回る好条件を筋肉の緩みとして与えていることがわかりました。
遠く姫路からアポイントをきっちりと守って来院され、回を重ねるごとによくなり、最終の
西村式入れ歯が入った時は「昔の顔に戻りました」と大喜びされました。
入れ歯がはいったら娘さんのいるサンフランシスコに行きたいと言っておられましたが、終了して間もなく、無事娘さんの所へ行き、美味しいものを一杯食べられたとのお手紙も届きました。
その後の検診も定期的に受けられており、入れ歯はほとんど調整の必要がないぐらいに、しっかりと彼女の命を支えています。

初めて来院された時に、顔貌とアゴの状態、さらに上アゴと下アゴのバランス等から観て、間違いなく難症例と思われたのが、全く問題なくスムーズに進んだのは、この方の心の柔らかさ、穏やかさに加えて、私はここで入れ歯を作るという明確な意識があったからだと思います。
何事においても一番重要なのは、『心』だとつくづく思いました。
okichao-08.jpgspacer-02.jpg入れ歯が完成するたびに、西村はいつも技工士さんと話をします。
「どんなに我々が頑張っても、結局のところ、患者様の人柄を越えた入れ歯は作れないなぁ…。今回も素晴らしい人柄、生き方、意識の持ち主に出会えたなぁ…。あの人柄のおかげで、素晴らしい仕事をさせていただいたなぁ!」

歯科医冥利に尽きる時間です。